妻をめとらば才たけて
みめ美わしく情あり
友をえらばば書を読みて
六分の侠気四分の熱
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つまをめとらばさいたけて
みめうるわしくなさけあり
ともをえらばばしょをよみて
りくぶのきょうきしぶのねつ
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恋の命をたずぬれば
名を惜むかな男ゆえ
友のなさけをたずぬれば
義のあるところ火をも踏む
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こいのいのちをたずぬれば
なをおしむかなおのこゆえ
とものなさけをたずぬれば
ぎのあるところひをもふむ
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汲めや美酒うたひめに
乙女の知らぬ意気地あり
簿記の筆とる若者に
まことの男君を見る
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くめやうまさけうたひめに
おとめのしらぬいくじあり
ぼきのふでとるわかものに
まことのをのこきみをみる
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あゝわれコレッジの奇才なく
バイロンハイネの熱なきも
石を抱きて野にうたう
芭蕉のさびをよろこばず
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あゝわれコレッジのきさいなく
バイロンハイネのねつなきも
いしをいだきてのにうたう
ばしょうのさびをよろこばず
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人やわらわん業平が
小野の山ざと雪をわけ
夢かと泣きて歯がみせし
むかしを慕うむら心
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ひとやわらわんなりひらが
おののやまざとゆきをわけ
ゆめかとなきてはがみせし
むかしをしとうむらごころ |