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山田耕筰作曲、三木露風作詞の童謡「赤とんぼ」は日本の歌百選にも選ばれている曲です。夕焼け時に飛ぶ赤とんぼなどなつかしい故郷の風景を題材にした歌です。「小焼け」は韻を踏むための造語で意味はないようです。日常生活では使うことのない言葉ですが、童謡ではタイトルや歌詞に使われているものが幾つかあります。「夕焼小焼」もそのうちの1つです。
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山田耕筰の没年は1965年で没後50年を経過したため著作権保護期間終了となった曲で、広く親しまれている童謡・唱歌の中では比較的新しい歌です。(TPPの影響で1968年以降に亡くなった人の著作権保護期間は延長されます。)
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1番から4番まである歌詞は、幼少時代の思い出や故郷の情景を歌ったものです。赤とんぼは春に卵からかえって羽化したあと、夏は山の奥にいて、秋に山里におりてきます。1番の歌詞は過去の情景を思い出す内容ですが、4番の歌詞で「夕焼小焼の 赤とんぼ
とまっているよ 竿の先
」と歌っていることから、歌われた季節が秋の時期であることが分かります。1番の「負われて」は「追われて」と勘違いしている人も多いと思いますが、赤とんぼに「追われて」ということではなく、誰かに「背負われて」という意味です。2番も過去の情景を思い出す内容ですが、「桑の実」の収穫時期は6月ごろで、時期としては、春の終わり、初夏の頃ということになります。赤とんぼが、秋のころ田んぼや畑、草むらなどで、群れをなしているのを見かけると思います。1番と4番の「夕焼小焼の 赤とんぼ
」ですが、実際に日没の頃に赤とんぼが群れをなして飛んでいるかは疑問なようです。赤とんぼは暑さを嫌うため日中は活動せず、活動時間は夕方ごろになりますが、日没の頃には木陰や草むらなど、休む場所に帰ってしまうそうです。 |
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この曲のメロディは、「ドレミソラ」の音だけで作られています。このように、「ファ」と「シ」の音を使わない5音階をヨナ抜き音階といいます。日本の童歌や民謡にはこのヨナ抜き音階を使用して作曲されたものが多くあります。
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小学校の先生の解説では、お姉さんはお嫁に行ったのではなく、人身売買でどこかに売られていってしまったということでした。しかし実際は、赤とんぼの歌は、作詞者の三木露風の個人的な体験に基づいているようで、家を出て行ってしまった母親と、昔、桑の実をつみに行ったことや、母親の代わりにめんどうを見ていてくれた姐(おそらく実の姉ではない)が、十五で嫁にいってしまったことなどが歌われたようです。
また、十五は姐やの歳ではなく、その時の三木露風の年齢であったという説もあります。 |
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なお、「赤とんぼ=ゼロ戦」説もあります。
ゼロ戦の練習機で「赤トンボ」と呼ばれていたものがあるらしく、実機不足で終戦の頃には特攻隊にも使用されたようです。戦争との時系列的な関係では、「赤とんぼ」は1921年に発表された曲で、終戦は1945年です。
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赤とんぼに限らず、トンボが草などの先にとまっているときに、人差し指をグルグルして目を回してやると、目をまわして、とまっているところから下へポトンと落ちます。ひどい場合には、首が取れてしまうことがあるようです。(「すべらない話」で聞いたように思います。)
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